結婚したいなら恋愛をやめろ

05.家庭のこと
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我が家は、一応「恋愛結婚」である。お見合い結婚ではないし、許婚(いいなずけ)とかでもないし、その他やんごとない事情によって結婚したわけでもない。たまたま知り合って、好き合って、恋愛関係になり、そして結婚した。

なんで「一応」とつけるのか。ちゃんとはしていないが、ちゃんとした理由がある。

私は、「結婚」が「恋愛」の延長線上にあること、「恋愛」が進展して「結婚」に至るという考え方が、理解できない。「恋愛」を経て「結婚」に至るという考え方に、どうしても納得できない。恋愛は恋愛、結婚は結婚で、それぞれ独立したものだと思う。なので「恋愛結婚」という言葉には、非常に強い違和感を覚える。

「恋愛」とはなにか。辞書によれば、「特定の相手を恋い慕っている状態、特定の相手に対して精神的・肉体的な一体感を求める、あるいはそれらが叶えられている状態」のことを、「恋愛」と呼ぶらしい。恋愛とは、人間関係の一種、ないしパートナーシップの形態のひとつだと思う。

「恋愛」という単語が指し示す範囲は、非常に広いように思える。たとえば、幼稚園児が保育士さんに抱く憧れも、恋愛と言いうるかもしれない。思いを伝えられない初恋におちいっている状態も、恋愛だ。はるか遠くのアイドルへの恋慕も、立派な恋愛だろう。

未婚者同士が互いに好き合うのは、一般的な恋愛だろうが、既婚者同士が相思相愛になることもあり、これも恋愛と言えると思う。あとは、恋い慕う相手が、この世にいない、あるいは実在しない場合などもあるかもしれない。

反面、「結婚」という単語が指し示す範囲は、非常に狭いように思う。夫となるものと妻となるものが、それぞれ婚姻届に記名・捺印をして、それを市区町村役場へ届け出ることで成立する。これが結婚のすべてである。結婚とは、要するに単なる手続き・制度である。

もちろん、夫婦となってからは、民法の定めるところによって、互いに協力し扶助する義務、貞操を守る義務などを負う。これらが、非婚未婚に対して、婚姻関係のユニークさを表していると言えないこともないが……。

しかし、恋愛関係においても、相互扶助や守操義務は当然重んじられているし、「夫婦になったから守りましょうね」というようなものではない。結婚のユニークさ、強いて言うならば、「同氏を名乗る義務」が発生する、つまり夫婦で同姓となることくらいである。

結婚をするのに、恋愛という過程を経る必要が、本当にあるのか。「恋愛結婚」と言う場合、私のなかでは、恋愛から結婚へ、単線的に進展していくイメージがある。しかし、ここでなぜ、「恋愛」を挟む必要があるのか。私は「結婚のための恋愛なんて要らない」ということを言いたい。

べつに、恋愛を否定するつもりはないし、結婚を称揚するつもりもない。恋愛は素晴らしい。私も、妻と結婚をする以前は、別の異性と交際していたことがある。交際している当時は、相手のためになら、すべてを投げうってもいいような、神妙な気持ちだった。すぐにフラれたが。思い出すだけで悲しい。

「恋は盲目」と言う。たしかに、恋愛をすると、頭がバカになる。恋愛している相手のことばかりを考えてしまう。だけど、それが自然な心の在り方だと思う。恋をすることは、すごく素敵なことだ。

しかしながら、やはり結婚と恋愛とは、無関係だと思う。今でこそ「恋愛から結婚へ」の流れが一般的になっているが、個人的にはすごく歪な考え方なんじゃないかと感じている。

私はもう結婚してるんだけど、たまに友人や知人から「結婚していていいね」みたいなことを言われる。単なるお世辞か、または本気でうらやんでいるのか、よくわからない。ただ、会うたびに言ってくる奴もいるから、多少うらやむところがあるのだろう。私は「結婚している」という事実をうらやむ理由が、あまり理解できない。

いま、特定のパートナー(恋人)がいない人から「結婚してていいね」と言われる場合、言わんとするところは多少わかる。いちいちうらやまれるのはうっとうしいけど、「独り身は寂しいんだろうな」と思って、あまり触れないようにしている。

特定のパートナーがいる人から「結婚してていいね」と言われた場合、これは最高に意味不明である。「もうパートナーがいらっしゃるんだから、その方と結婚なさればいいのでは?」と、本気でそう思う。結婚願望があり、結婚が可能な状況にありながら、あえて結婚をしない理由が、まったくもって理解できない。結婚したけりゃ、さっさとすればいいのである。

なんか、恋愛関係を継続してると、「二人の仲を育てる」みたいに、少しずつ関係が成熟していき、自然と結婚するタイミングがやってきて、そのうち夜景が見えるホテルで、指輪を差し出しながらプロポーズして……みたいな幻想を抱いてる人が多いんじゃないの。

これは断言するけど、「結婚するべきタイミング」なんてものは、どこにも存在しないぞ。ロマンのない話だけど「結婚したい」と思ったときがチャンスだ。必要なのは、雰囲気ではなくやる気。結婚するタイミングは、自分で作っていくしかない。結婚のやり方は簡単、婚姻届に記名・捺印をして、役所に出すだけです。

いや、結婚は単なる手続き・制度とはいっても、そこで生まれる夫婦関係というのは、二者からなる人間関係だ。夫婦関係は円満であったほうがいい、それはわかる。お互いのことを理解し、深い信頼関係で結ばれた夫婦でありたい、私もそう思う。結婚しても恋してる、素敵だね。

じゃあ、円満な夫婦関係というものは、果たして恋愛の向こう側でしか育まれないものなのだろうか? そうかもしれないし、そうでないかもしれない。

恋愛関係と、婚姻関係とは、まったく別物だ。世間でよく言われる「いい恋人が、いい配偶者になるわけではない」というのは、まさしく真理だと思う。結婚前と結婚後とでは、生活環境も、互いの関係性も変わっていく。結婚前は身勝手だったパートナーが、結婚したらいきなり献身的になることもあるだろう。逆に、結婚前は優しかったパートナーが、結婚後いきなりモラハラを始めることも、あるかもしれない。これは極論だが、結婚したあとのことは、結婚してみなければわからない。

これも、よく言われる話だけど、結婚はゴールではない。むしろスタートだと思う。知人に、交際期間ゼロ日で結婚した夫婦がいる。この夫婦の例を見ると、スタート地点では「婚姻関係」以外の人間関係が構築されていない、まさしくゼロからのスタートである。

「そんなの上手くいくはずない」と思うかもしれない。いや、私も少し不安に思っていた。しかし、実際は、結婚後に相互の理解を深め、またお互いに支え合って生活を送っている。おこがましい言い方にはなるが、どんどんいい「夫婦」になっていっているように見える。

むしろ、婚前の交際期間なんて、短いほうがいいのかもしれない。交際期間がヘタに長いと、結婚したあとで「恋人時代のほうが楽しかった」「恋人時代は優しかったのに」みたいに、過去と比較してしまって、現在に不満が出てくる気がする。無用な重荷を背負って、スタートラインに立つ必要はないだろう。

我が家の話。私は、結婚前はわりとモラハラ気質だった。恋愛時代は、妻の交友関係へ干渉したり、一人で外出する際には「いつ・どこで・だれと・なんのために・なにをしに行くのか(5W1H)」みたいなことを詳細に追求したり、妻に対して病的に執着していた。なぜ、こんなことをしてしていたのか。端的に言えば、妻のことを信頼していなかったからなんだけど、結婚後は、この症状が改善してきた。

なんで症状が改善してきたか。結婚したこと自体は、まったく関係ない。たまたま、結婚前後に何度も話し合いをして、価値観のすり合わせを行い、反省すべき点を反省し、改めるべき点を改めて、それによってお互いの理解や信頼が深まったからだと思う。なにが言いたいか、結婚してからでも、夫婦の関係は変わりうる。

恋愛関係にある相手に対して、ある種の「完璧さ」それも「結婚相手としての完璧さ」を求めてしまうから、あと一歩結婚に踏み切れない人が多いんじゃないかとも思う。

長い人生のなかでは、結婚もひとつの過程である。恋愛関係においては、相手が未成熟に見える、それに対して不満や不安を感じることもあるだろう。しかし結婚生活のなかで成長したり、相手の未熟さを受け入れられたりすることだってある。そうじゃないこともあるかもしれないし、そうじゃない例も多く見聞きしますが……。

「結婚の前段階として恋愛をする」という考え方は、とても危険に見える……感情にもとづく恋愛関係と、契約にもとづく婚姻関係、は、おおむね別物だ。「夫婦」という関係のなかにおいては、感情と契約とがオーバーラップすることもあるが、基本的には別物だと思ったほうがいい。恋愛と結婚とを、連続的・単線的に捉えてしまうのはよくない。恋愛と結婚との間には、確実に断絶と飛躍が存在する。

結婚したら、だいたい同居が始まるだろう。そのうち、子どもが生まれるかもしれない。各種ローンなども発生してくるだろう。そういうものごとが、生活の大半を占めていくなかで、家庭の諸々をやりくりしていくのは、恋愛のスキルではなく、家庭のスキルだと思う。恋愛と家庭、どっちがよくて、どっちが悪いという話ではない。ただ、恋愛の適性と結婚の適性とは、まったく別物で、求められるものが違う。

よき家庭人、よき配偶者であることを、どう見極めたらいいのか? 多分だけど、見極める方法はない。というか、はじめはみんな未熟な家庭人、未熟な配偶者だろう。結婚生活を送り続けていくうちに、少しずつ成長していくんだと思う。もちろん成長しない、あるいは劣化するケースもあるが。

結婚願望があり、そして婚姻可能である特定のパートナーがいるとしたら、どうしてそのパートナーと結婚しない? 私には、まったく理解できない。結婚したいんだろ、さっさとしろ、今の相手と、さっさと結婚しろ。

結婚したいなら、恋愛を続けるのは時間のムダだ。チャンスは何度も訪れるわけじゃない。不満や不安はあるかもしれんが、細かいことは入籍してから話し合って解決していけばいい。「Time is now」だ。

結婚したことによって、幸福になるか不幸になるか。これは、本人たちの努力と気の持ちよう、あとは運である。付き合いの長い恋人と結婚して、ダメになるケースもある。会ったばかりの相手と結婚して、ハッピーになるケースもある。どう転ぶか、なんとも言えないし、ここは腹を括るしかない。

結婚に必要なのは、恋愛のプロセスじゃない。婚姻届に記名・捺印をし、役所へ提出する、その手続きだけだ。恋愛の先に、結婚は待っていない。本当に結婚したいなら、恋愛なんていうムダなことに時間を割くな。今すぐ恋愛をやめろ。

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