鎮静剤を倍プッシュ

03.精神障害のこと
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最近、どうも体調がすぐれなかった。問題はいくつもあるが、いちばん深刻なのが、睡眠の問題である。

最近は、中途覚醒(数時間で目が覚める)と過眠(寝過ぎる)を、短い周期で繰り返している。

私は、10年ほど前から、双極性障害(躁うつ病)という精神障害を持っている。この障害のため、あるいは治療薬の副作用で、睡眠関連でも、今まで散々悩まされてきた。

以前療養しているころ、ひどい不眠におちいって、「躁うつ何時間眠れないかチャレンジ!」をやったことがある。

文字通り「何時間起きていられるか」というチャレンジなのだが、72時間が経過したころ、「なんで私は、こんなことを……」という気持ちになって、悲しくなった思い出がある。

1年ほど前までは、過眠がひどく、毎日15時間以上寝ていた。寝て起きて食事をしてシャワーを浴びて寝る、それだけの日々。

この時期は、当然記憶にポッカリと穴が空いていて、人生の空白期間みたいになっている。

上手くいかない時期もありつつ、向精神薬や睡眠導入剤でなんとか睡眠をやりくりしてきた。

先月くらいまでは、ごくごくいい調子だった。

しかし、今のような季節の変わり目というのは、ちゃんと薬を飲んでいても、どうしてもバグるというか、調子が崩れる。

基本的には、規則正しい生活を旨としているので、毎晩0時前後には必ず寝る。夜更かしは美容と健康の敵なので。

すると、最近は、毎日午前3時ごろに目が覚める。中途覚醒してしまうのである。しかも、メチャクチャスッキリ目が覚めるので、二度寝もできない。

はじめのころは「スッキリ目覚められたし、別にいいか」なんて舐めた考え方でいた。

しかし、普通に考えれば、1日3時間しか眠れていないわけで、必ず寝不足になるし、どうしても身体にガタがくる。

寝不足だから、日中は注意散漫になるし、疲労感は取れないし、集中力が続かないし、頭がボーッとするし、常にうっすら眠いし、非常にマズいことになっていた。

「昼寝でなんとかするか」と思ったが、昼寝もできない。

なぜか。長年の睡眠障害生活の結果、薬なしでは、一睡もできないのである。

昼寝のために薬を飲むのも、なんだかバカバカしい。

あと、薬を飲んでしまうと、昼寝どころではすまなくなる可能性がある。

ほんの昼寝のつもりが、何時間も眠り続けて、気づいたら夜だった。そんなことになったら、本末転倒である。

そういうわけで、寝不足で、パフォーマンスが劇的に低下した状態のまま、無為な毎日を過ごしていた。

寝不足によって、どれくらいパフォーマンスが低下するか。経験がある人にはおわかりだろうが、ビックリするくらい下がる。

日中昼過ぎには、なにもできない、なにも考えられない、死体とほぼおなじ状態になっている。

生きてはいるが、身体も頭も動いていない。体力も気力も意欲もないから、なにもできない。

また、毎日3時間の睡眠時間で、体力がもつはずはないので、どこかで睡眠時間の帳尻合わせをしなければならない。

そのため、疲労で倒れるように、眠り過ぎてしまう、過眠の日も出てくる。

最近は、中途覚醒の日が2日続いて、そのあとの1日は過眠の日、という生活リズムができあがってしまった。

過眠は、心に悪い。0時に就寝する。明日こそはがんばるぞと思って、床に就く。目を覚ますと、夕方を過ぎていて、もう一日は終わりかけている。

なにもしないまま一日を終えるのは、すごくつらい。

過眠したからといって、頭や身体がしっかり休めているわけではない。過眠の最中は、ウトウトしていて、ダルい。

頭の焦点が定まらないまま、半覚醒と微睡を繰り返していて、これは厳密には「眠」ではない気がする。

そんな日々を繰り返していると、心も荒んでくる。このまま社会復帰できるのか、またちゃんとした生活を遅れるようになるのか、そんな不安が、頭をもたげてくる。

睡眠リズムが乱れているせいか、最近は毎日ソワソワしていた。

季節の変わり目のせいかもしれないが、なにをしていても、なんとなく「これじゃない」感があって、なにごとも手につかない。

疲労感にも悩まされていた。とにかく眠れていないので、疲れている。倦怠感がすごいし、立っているのもキツい。

頭もマトモに働いていないから、考えごとなんて、もってのほかである。趣味の短歌をやろうにも、疲労のせいで日本語が怪しくなっている。

という話を、精神科の先生にしたら、「一度リセットしよう!」という話になった。

「リセット!」の意味が全然わからなかったのだが、ともかく先生の指示で、薬の処方が変わった。

どこが、どう変わったか。今まで眠前に飲んでいた、少しキツめの鎮静剤の服用量が、2倍に増えた。

正直、いきなり倍プッシュはやりすぎなのではないかと思った。しかし、私は先生を信じているので、しばらくは言われた通りにすることに決めた。

処方変更の初日、今までとは倍量の鎮静剤を飲んで、就寝した。

なんとなく、明日の予想がついたので、あらかじめ妻には「私が動かなくなっていても、気にしないでほしい」と伝えておいた。

翌日、案の定、動けなくなっていた。

0時に服薬・就寝して、起きられるようになったのは19時。効果てきめんである。

これだと、過眠の日と変わりないのだが、いつもの過眠の日とは、少し様子が違った。ソワソワとした、イヤな焦燥感が消えていたのだ。

身体の疲れも、しっかりとれている。

いつもだったら、身体に重しをつけられて、頭も霞がかった感覚だったのが、ウソのように晴れ晴れとしている。

要するに、ちゃんと睡眠できているのだろう。

とはいえ、19時に起き出していたら、なんの意味もない。日は暮れているし、行きつけの喫茶店も閉まっているし、一日が終わっている。

「早めに飲めば、早起きできるのでは?」そんなことを考えて、その日は試しに10時くらいに、薬を飲んだ。

鎮静剤は、昨日とおなじく、以前の倍量。そうしたら、日付が変わるのを待たずに寝落ちした。

その翌日、今日は、5時前に目が覚めた。早過ぎるといえば早過ぎるのだが、やはり頭はパッチリしているし、身体もシャキッとしている。倍量の鎮静剤を飲めば、5時間くらいは熟睡できるのだ。これは大きな発見だった。

今までの処方だと、弱めの睡眠導入剤(寝つきをよくする薬)がメインで、鎮静剤(眠りを深くする薬)はサブだった。

ここ1年ほどは、それで問題なかったのだが、双極性障害は症状に波があるので、ときどきこういうチューニングが必要になる。

鎮静剤、効き目がキツいので、コレ単体でも十分やっていけそうな気がする。

どのくらいキツいか。飲んで30分くらいすると、足元がフラついて、呂律が回らなくなるし、1時間もすれば意識が落ちる。

「大丈夫なのか……」と思われるかもしれないが、鎮静作用のある向精神薬なんて、だいたい全部こんなもんなので、大丈夫である。

過去に飲んだ鎮静剤たちは、もっとキツくて、「効果が出ると倒れる」「15時間まったく目覚めない」「服用量を間違えると死ぬ」というのもあった。

それと比べれば、意識が飛ぶまでのリードタイムが結構あるし、死にはしないので、まだマシだと思う。

そういうわけで、これからはこの鎮静剤をメインに、睡眠を調節していきたい。

強い薬なので、服用時間はタイトに管理しなければならない。11時半~12時には必ず服用しなければならない。それ以前でも、それ以降でもダメだが、それくらいはがんばろう。

睡眠障害、事前に察知できればいいが、天災みたいなものなので、予知はできない。

予知できないから、どうしても「ダメになってしまう期間」が出てくる。工夫と気合で乗り越えるしかないが……。

ともあれ、鎮静剤を倍プッシュすることで、ガッツリ眠れるようになったので、今はなんの問題もない。適切な処方をしてくれた先生には、感謝感謝である。

双極性障害にせよ睡眠障害にせよ、治るものでもなさそうなので、早め早めに対策して、上手く付き合っていきたい。

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