眠りは麻薬

02.メンタルヘルスのこと
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この半月ほど、非常によく眠れている。少し前の不眠が嘘のようによく眠れる。最近もわりと早寝を心がけていて、0時前後には就寝するようにしている。目を覚ますと、すっかり日が暮れていたということもある。それくらいよく眠れている。

正直、すごく困る。よく眠れるのは嬉しいことだが、日中に起きていたいし、やりたいこと・やらなければならないことがまったくないわけではない。それに、一日の大半を眠ったまま過ごしてしまうと、強烈な虚無感や罪悪感を覚える。

日がな眠っているので、まともな生活も送れていない。家事もちゃんとできていないし、食事もきちんととれていない。ジムにも行けていない。最近、また体重が減ってきたのだが、これは単に食事をとっていないだけの話で、健康的なやせ方ではない。

さいわいなことに、双極性障害(躁うつ病)の躁状態や、うつ状態がひどくなることはなかった。一日の中で起きている時間、せいぜい5~6時間だけど、気分はまあまあいい。気がふさいだり、逆に上がったりすることもなく、平穏に暮らせている。眠り過ぎてしまうこと以外は。

毎日、長時間眠っているわけだが、それによって生活リズムが崩れることもない。日中どれだけ長く眠っていようと、毎日0時前に睡眠薬を飲んで、ベッドに横たわると、また眠ってしまう。生活リズムが、長時間睡眠に合わせて、最適化されてしまっているように感じる。

多分だけと、ずっと熟睡しているわけではないと思う。眠っているあいだには、何度かまどろむような感じになる。もう一歩頑張れば、目覚められるかもしれない。あと、眠りが浅いせいか、よく夢を見るようになった。断続的に、いろんな内容の夢を見る。

夢の内容って、目覚めると、すぐに忘れてしまう。今日見ていた夢のことも、もうおぼろげにしか覚えていない。たしか、結婚をして引越しをする、みたいな夢だったと思う。誰と結婚したのか、どこへ引っ越したのかも、覚えていない。夢なので。

とても心地よい夢だったと思う。夢の中では、現実に感じる不安や焦燥感は一切なく、ただ予定調和的に、あるべきように物事が起こって、物語が進んでいく。夢のなかには、安心と安寧がある。

ファンタジー的な、冒険譚っぽい夢も、よく見る。物語の主人公になったように、夢のなかでイキイキと動き回り、いろんな場所へ行って、いろんなことをする。実際の身体は、ベッドからまったく動いていないにも関わらず、意識は万里を越えていくような感覚を覚える。

夢なのに「生きている!」ということを強く感じる。現実の生活に起伏がないから、なおさらそう感じるのかもしれない。現実で「生きている!」と感じることは少ない。夢は、インスタントに生の実感を与えてくれる。

最近は、悪夢を見ることが少ない。生活が落ち着いているせいか、精神状態が悪くないせいか、理由はよくわからないが、とにかく平和で心地よい夢ばかりを見る。目覚めてから、「ああ、あれは夢だったのか」と、なんとなく寂しさを覚えるような夢が多い。

そういう夢ばかり見てしまうから、なおさら目覚めるのがイヤになる。夢の世界に没入していたい、夢の世界で生きていたい。30歳を過ぎた男の言うことではないが、夢を見ているあいだだけは、心が平穏でいられる。

夢見心地のよさにまかせて、過眠してしまっている現状、非常によろしくないと思っている。言うまでもないが、私は現実に存在する人間であり、夢の世界の住人ではない。ちゃんと肉体を持っていて、東京都内に戸籍もある。

現実、あまり直視したくない。今はわりと安楽な暮らしを送れているが、これがいつまでも続くわけではない。早く社会復帰したいと思いつつ、身体がついてこなくて、強い焦りを感じる。毎月の収支を考えると、頭が痛くなる。このままではダメだと思って、現実に所在のなさを感じてしまう。

X JAPAN『ENDLESS RAIN』という曲の歌詞のなかに「眠りは麻薬」というのがある。至言である。眠っているあいだだけは、現実を忘れられる。心地よい夢を見て、夢の世界にひたっているあいだは、厳しい現実から逃れられる。眠りから逃れられない。眠りに依存していく。

もう、夢を見たくない。決まった時間になったら、サッと起きて、一日をちゃんと過ごしたい。なのに、心地よい夢が、私を籠絡してくる。ひとたび夢の心地良さを覚えてしまうと、もっと、もっとそれに浸っていたいと思って、ますます過眠におちいってしまう。眠りは麻薬。今の私は、睡眠に依存している。

夢はかりそめでしかないのだし、夢の世界に生きていられるわけでもない。私が生きていく舞台は、この現実で、私は現実の生活をきちんと送って、足元を固めていくしかない。夢がいくら心地よくたって、それはしょせん夢なんだ。決まった時間になったら、夢の舞台に幕を下ろし、さっさと目を覚まして、パンでも焼いて食べてたほうが、はるかに有益なんだ。

過眠しながらずっと夢を見て、現実から逃避したい気持ちはすごくあるんだけど、そうばかりも言っていられない。やらなきゃならないことは、山積している。眠っていたら、当然物事は進まない。明日は、絶対早く起きるぞ。そう思いつつ、毎日過眠してしまう。

原因はなんなのか。思い当たるふしはいろいろあるが、なにが決定打なのかは、よくわからない。服用している睡眠薬か、生活習慣か、あるいは冬の気候か。いずれにせよ、早く克服しなければならない。私は、意志が弱い。本当に弱いから、このままだと睡眠の誘惑に勝てないまま、睡眠に依存して、過眠から抜け出せないまま、ムダな時間を過ごしてしまう。

とりあえず、できることからやっていきたい。身体を暖めて、処方どおりに薬を服用して、夜は早めに入眠する。すでにやっていることだが、他に対策が思い浮かばないから、仕方がない。助けてくれ。とりあえず「眠りは麻薬」というフレーズを、心に刻もう。過眠がどれだけ心安かろうと、眠りのなか・夢のなかに、私の居場所はない。現実をちゃんと生きていく、そう思いつつ、今日も床につく。

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