双極性障害(躁うつ病)になってから10周年です

03.精神障害のこと
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さっき気づいたんだけど、今年は私が双極性障害(躁うつ病)になってから10周年だな。おめでとう。もう10年経つのか、時の流れは早いな~。

この10年、思い返せばいろいろあった。会社を休職したり、自殺未遂したり、仕事をバックレたり、破産しかけたり、最低賃金未満で働かさせられたり……あんまりいいことはなかった。

私は今34歳だから、人生の約1/3を、双極性障害とともに過ごしたことになる。ちなみに、妻とは出会ってまだ4年なので、妻よりも双極性障害のほうが、はるかに付き合いが長い。

双極性障害は「障害」なので、基本的には完治しない。寛解期(症状が出ない期間)というものがあり、コレが死ぬまで続けば、治ったのとおなじことなのだが……常に再発のリスクはある。

なので、双極性障害は、私の伴侶である。妻とは、この先別れる可能性もある。そういう人生も、あるかもしれない……しかし、双極性障害とは、たぶん別れられない。一生涯にわたって添い遂げることになるだろう(「しょうがい」なだけにね)。

正直、厄介な伴侶だなあと思う。双極性障害、気分がアッパーになる躁状態と、気分がダウナーになるうつ状態とを、周期的に繰り返す。躁状態のときは、とにかく活動的・外交的になって、人に迷惑をかけてしまう。うつ状態のときは、気分が落ち込んで、死にたくなる。いずれにせよ、ロクなモンではない。

ただ、10年も付き合っていると、その様子がだんだんとわかってくる。症状のコントロールも、ある程度はできるようになってくる。最近は、双極性障害が原因で人に迷惑をかけることは、あまりない(まったくないわけではないけど)。

しかし、悪い事ばかりではない。双極性障害になってから、世界の見え方が、ガラッと変わった。双極性障害になってから、双極性障害というレンズを身につけてから、精神疾患・精神障害に苦しむ人たちが、世の中にたくさんいることを知った。

それまでは、精神疾患・精神障害とは縁のない人生だったから、精神疾患・精神障害の人たちのことなんて、視界に入っていなかった。よくある話だけど、「うつ病は甘え」くらいの認識でしかなかった。

いざ自分が双極性障害になってみてようやく、精神障害のつらさ、精神障害の苦しみを、身をもって知ることができた。こういうことって、体験しないと理解できないですね。

双極性障害になってから、10年。障害にブンブン振り回されっぱなしの10年だったけど、「精神疾患・精神障害とはなにか」について知り、考えることができたことは、ひとつの財産である。

双極性障害になった直後は、ただただ自分ひとりが苦しいばかりだった。会社をやめざるをえなくなって、大きな挫折感を味わった。日々の生活も思うようにいかず、孤独で、ひたすらつらかった。私の人生、もう終わりだ。もう死のう。何度もそう思った。

そんなときに、おなじ障害で悩み、苦しみ、それでも生きていこうとする人たちと出会って、いろんな生き方、いろんな人生があるのだということを知れた。私は、孤独ではなかった。私も生きていていいんだ。生きていこうと思えるようになった。

「双極性障害」というレンズを通して、見えてくるものもたくさんあった。障害の症状によって困ることは、もちろんある。それ以外にも、「精神障害というスティグマ」によって、社会からのけ者にされることが多いことに気づいた。

「障害者差別」のことなんて、それまでマジメに考えたことがなかった。それがいざ自分が障害者になってみたら、たとえば就職など、いろんな場面で差別されていることが見えてきた。いや、「差別」と言うと若干ものものしいかもしれないけど、間違いなく「区別」はされている。

ほかにも気づいたことはあるけど、たくさんありすぎて書ききれない。とにかく、10年前に双極性障害になってから、よくも悪くも人生観や視点が変わってしまったことは、間違いない。いいことなのか、悪いことなのかは、ぜんぜんわからないけど……。

双極性障害になったこと、プラスマイナスで言えば、間違いなくマイナスである。今は障害のために、マトモに働くこともままならない。この10年間、つらいことばかりだったし、なんなら今もつらい。人生は長いけど、将来どうしよう。お先真っ暗である。

私も、健常者としての人生を歩みたかった。新卒で就職したときに描いていた将来。28歳で結婚して、30歳で第1子を、32歳で第2子をもうけ、35歳でマイホームを建てる。そんな人生がよかった。今でも、王道ド健常人生への憧れが捨てられない。

「双極性障害になってよかった」とは、言えない。絶対に言いたくない。いま健康に過ごしている人には、死ぬまで健康でいてほしい。間違っても、双極性障害にはなってはほしくない。私だって、治るものなら、今からでも治したい。

ただ、双極性障害になってしまったし、もう治らないので、まあ仕方ないなあと思う。きわめて消極的に、後ろ向きにだけど、障害を受け入れられつつある。双極性障害によって気づかされたことは多いし、それらはすべて私にとっての財産になっている。

双極性障害になってから10年間、なんとか生きてこられて、よかった。途中で何度もくじけそうになった。「自殺」という選択肢、常にあった。自殺以外の選択肢が見えない時期もあった。だけど、そこを抜けたらいろいろ見えてきた。生きていてよかった。

10年経って、ようやく双極性障害と上手く伴走できるようになった気がする。いや、伴走したくはないのだけど、せざるをえないから仕方がない。

双極性障害と10年連れ添って気づいたこと。精神障害者にとって、健常な社会は、かなりむずかしいということ。昔と比べれば、はるかにマシになっているんだろうけど、それでもやはり、まだまだむずかしい。この10年、私は、あまり上手くやりきれなかったなァと思う。

しかし、人生はまだまだ長い。世の中も、精神障害者にとってよいほうへ、ドンドン変わっていっている。次の10年は、私ももっと上手くやっていきたい。

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