タバコくらい大目に見てくれ

07.趣味のこと
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私は、喫煙者である。もう20年くらい、タバコを吸い続けている。はじめて吸ったのは、よくある銘柄、マルボロのメンソール。強すぎず、口当たりもさわやかで、タバコ初心者にはオススメの銘柄である。

もともとは、タバコが大キライだった。小学生のころ、少年野球をやってたんだけど、コーチたちがそろいもそろってヘビースモーカーだった。コーチたちは、練習中、ベンチのなかでタバコをスパスパ吸う。その副流煙にあてられて、何度も何度もノドを痛めたり、カゼをひいたり、気管支炎になったりした。

「練習中はタバコをやめてくれ」何度もコーチに訴えたけど、一向に聞いてもらえない。最終的に、保護者会みたいなところで、両親が問題にしてくれて、練習中は禁煙になった。そんなわけで、タバコは大キライだった。

中学生のころ、すこしワルメの先輩から「試しに吸ってみなよ」とそそのかされて、はじめてタバコを吸った。ノドがイガイガして、肺に煙がたまるのが気持ち悪くて、味もまずかった。

「もういいです」ひと口吸って捨てようとしたけど、先輩から「とりあえずひと箱吸ってみなよ」と言われ、私は素直なので言うとおりにした。ひと箱吸い終わるころには、頭がスッとする感じ、リラックスする感じ、心地よい酩酊感を味わえるようになって、すっかりタバコにハマってしまった。

以来20年、何度も何度も禁煙を試みつつも、ほぼずっとタバコを吸い続けている。

2020年4月1日に施行された、改正健康増進法によって、タバコが吸える場所が劇的に減った。原則屋内禁煙。喫煙可能・喫煙目的店以外での喫煙はできなくなった。

私は喫煙者だけど、コレはいい流れだと思う。タバコを吸わない・タバコ嫌いな人にとって、喫煙者は有害害虫みたいなもんだろう。タバコ、臭くて有害な煙をばらまくし、火を使うから危ないし、ゴミが街を汚すし、百害あって一利なしだ。

一度、某所の飲食店(喫煙可)でタバコを吸っていたら、となりに座ったご婦人方から「アンタたち! いまどきタバコなんてダサいわよ!」と言われたことがあるけど、私もそう思う。2020年において、タバコはダサい。

しかし思い返せば、1990年代ごろにはJRの車内座席に灰皿がついていたり、それ以前には路上喫煙・ポイ捨てが当たり前の時代もあったわけで、(決してそれをよしとするわけではないけど)喫煙者の肩身は年々せまくなっているなァと感じないこともない。

タバコ・喫煙に関しては、時代の変わり目、グラデーションの上を歩いていることを、強く感じる。15年ほど前から、タバコを買うときの年齢確認が厳しくなって(TASPOという年確カードができた)、路上喫煙に対して過料を課す自治体も増えてきた。

どうでもいい話なんだけど、15年前、私は大学生で、サークルの後輩とイイ感じになっていた。ある日その後輩から「タバコをやめたら、付き合ってやってもいい」と告白(?)され、タバコと恋人を天秤にかけた結果、タバコを取ってしまったわけだが……当時から、タバコが嫌いな人は、本当に嫌いだったんだろう。

年を追うごとに、喫煙所や、野良の灰皿の数も減り、禁煙の飲食店も増えてきた。禁煙外来が保険適用になったりして、「タバコをやめろ」という圧力はいっそう強くなってくる。

そして、4月1日の改正健康増進法である。おカミから喫煙者に対して「タバコを吸うな」「タバコを吸わせるな」と言ってきた。これは、とても大きな進歩だと思う。

なんべんも言うけど、タバコは百害あって一利なしである。本人にも悪い、まわりにも悪い、環境にも悪い、景観にも悪い。いいことなんてひとつもない。これは、われわれ喫煙者自身にもわかりきっていることだ。

ただ、いまの私たちは、まだ変化のグラデーションの上にいるのだ。「タバコはやめたほうがいい」そんなことはわかってる。ただ、いままで許されてきたもの、いままでの習慣をいきなり変えるのは、とてもむずかしい。

たとえば「明日からなんば歩き(手と足を同時に前に出す、日本古来の歩法)をしろ、しなかったら罰金」と言われても、困るだろう。

タバコ・喫煙の歴史は、日本では15世紀なかば(戦国時代)までさかのぼる。世界だと、もっとさかのぼらなければならない。450年以上続いた文化、たとえそれが現代の価値観では悪習だとしても、一朝一夕でやめられる・消せるものではない。

私も、タバコをやめたい・やめなくちゃと、ずっと思っている。昨年から、半年ほど禁煙を続けていたけど、コロナ禍のストレスでご破算になってしまった。けど、あいかわらずタバコはやめたい。気持ちが落ち着いたら、また禁煙にチャレンジしたい。

それまでは、タバコくらい大目に見てくれ。べつに私は、人に迷惑がかかる場所で喫煙しているわけじゃない。喫煙可能・喫煙目的店以外の場所では吸わないし、路上で吸うことは絶対にない。タバコを吸うときは「本当に申し訳ありません……!」という気持ちで吸っている。

喫煙可能・喫煙目的店というのも、いずれはなくなる、あるいは極小数になるのだろう。タバコなんて吸わないほうがいいんだから、タバコを吸う場所だって不要になるんだろう。ソレはソレでいい。いい時代になっていると思う。

これから、禁煙の流れはいっそう進んでいく。それは間違いない。ただ、いまはまだ変化の途上なんだ。だから、タバコくらい大目に見てくれ。タバコなんてダサい、タバコが嫌いな人のことはよく理解できるけど、タバコ憎さで喫煙可能・喫煙目的店に乗り込んでくるのはやめてくれ。ソコは数少ない喫煙者のオアシスなんだ。

禁煙しなきゃなと思いつつ、毎回なにか言い訳をしたり、逃げ場を求めてしまう。自分に甘いのは百も承知なんだけど……タバコくらい大目に見てくれ。

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