文章組手第32回「梅雨」

10.文章組手
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長い長い梅雨が明けた。地域差はあるだろうけど、平年よりも10日ほど遅い梅雨明け。本当に長い梅雨だった。

雨が各地でたくさん降った。私の地元である岐阜県でも、豪雨による被害が出た。実家の母に「どうですか?」とLINEをしたら、「ダメですね☺️」と返ってきた。本当に深刻な被害が出たようだった。

一時期、岐阜市の長良川沿いに住んでいたことがある。長良川は、岐阜県を縦に流れる一級河川である。

岐阜県の南部には、長良川のほかにも木曽川・揖斐川という大きな川が流れており、まとめて「木曽三川」と呼ばれる。

大きな川といえば、今年の岐阜のような水害がつきものである。水害といえば、治水。岐阜県南部にも「輪中」と呼ばれる堤防集落の跡が残っているし、薩摩藩による宝暦治水(木曽三川の治水事業)も有名である。

デカい川が氾濫すると、とにかくヤバいことになる。そして、デカい川はすべからく氾濫する。というわけで、岐阜の人々は、昔から今に至るまで、治水に心を砕いてきた。

長良川の堤防にも、治水のためのさまざまな設備を見ることができる。岐阜市忠節町には、「畳堤(たたみてい)」という、その名のとおり畳で水を防ぐための設備がある。

そのほか、長良川にかけられた長良橋の出入口には「陸閘(りくこう)」と呼ばれる防水設備がある。

陸閘というのは、河川が増水したさい、橋の入口から水が侵入して氾濫するのを防ぐためのゲートである。

岐阜市に住んでいたころ、街歩きがてら見に行ったことがあるけど、長良橋陸閘は高さ3.8m、幅21.7mと、かなりデカい。鋼製、重量は5t超。長良川の水位が18.94mに達すると閉鎖作業が始まり、水位が19.74mを越えると完全に閉鎖される。うっかり動作に巻き込まれたら、間違いなく死ぬ。

岐阜市内には、長良橋陸閘以外にも、大小さまざまな陸閘が約100ヶ所あるらしい。歩いていて陸閘を見つけると、街と川との関係や歴史が見えてきて、とても楽しい。

輪中や畳堤や陸閘は、岐阜にしかないものではない。たとえば輪中は日本全国で見られるし、畳堤であれば兵庫県の揖保川も有名だし、荒川にも大麻生陸閘がある。川あるところに水害あり、水害あるところに人の知恵あり、なのだ。

川ぞいを歩いていると、さまざまな史跡を見つけることができる。水と人、よくも悪くも、切り離しては語れない。せっかく雨もやんで、天気もよくなってきたことだし、川ぞいを歩いて、人と川の歴史に目を向けてみてもいいかもしれない。

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