ADHDの輪郭

03.精神障害のこと
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きのうは、妻といっしょに終日出かけていた。家を出るまぎわに、妻から「薬、ちゃんと飲んだ?」と言われ、あわててストラテラを飲んだ。

ストラテラは、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の薬である。もう1年ほど服用を続けているけど、注意欠陥なので、いまだによく飲み忘れる。

朝は教会の礼拝に出て(私はクリスチャンなので)、お昼は友人とお茶をして、夕方から百貨店へ買い物に出かけた。

百貨店が大好きだ。5万円のグラスとか、50万円のジャケットとか、100万円のバッグとか、500万円の置きものとか、私の人生にはおよそ縁のなさそうなものが、たくさん置いてある。冷やかしなので、申し訳ないなァと思いつつ、美術館を見る感覚で商品を見る。

店内のフロアをグルグル歩きまわって、妻と「アレがカッコいい」「コレがすごく高い」などと言い合う。そのうち疲れてきて、柱のそばに置いてあったソファで休憩した。

ソファのそばには、テーブルが一基置いてあった。円錐型の脚に、円形のガラス天板が乗っている、オシャレなテーブル。

それを見た瞬間、「このテーブルに体重をかけたら、どうなるだろう?」「ガラス天板をひっくり返してみたい」という好奇心が頭をもたげてきた。

朝にストラテラを飲んでも、夕方になると効き目がうすくなってくる。発達が不足してきて、突拍子もないことを思いついたり、口にしたり、行動に移したりしてしまう。

思ったことは、すぐ口に出してしまう。「テーブルの天板をひっくり返したいな」私がそう言うと、妻から「ダメだよ」と言われた。そうだよな、ダメだよな。

そのあとも、百貨店の紳士用品売り場を見てまわった。見てまわっていたら、すごく高いけどすごくダサいジャケットを見つけてしまった。思ったことは、すぐ口に出してしまう。「すごくダサい」私がそう言うと、妻から「そういうことは、言っちゃダメだよ」と言われた。そうだよな、ダメだよな。

ADHDの診断を受けてから、だいたい1年くらい経つ。10年前くらいからADHDの疑惑はあったのだけど、昨年ついに診断がおりてしまった。

ADHDの診断を受けてから、発達障害に関する本を読んだり、ウェブサイトを見たりして、ADHDについてはある程度詳しくなった。しかし、自分がADHDであるという自覚が、どうしても持てない。

「発達障害(ADHD)を受け入れる勇気が出ない」という話ではなく、本当に自覚がない。「ADHDで困った」と感じることが、なにひとつないのだ。

私の行動特性、ADHDの特徴におおむね当てはまる。注意欠陥、よくある。むかしから本当に不注意で、ケアレスミスがおおい。マークシート式の試験などは、解答欄がズレまくるので地獄である。

多動、よくある。身体的な多動(手むずり、貧乏ゆすりなど)はもちろんある。精神的な多動もひどくて、一度にたくさんのものごとに手をつけて、破滅してしまう。

衝動性、よくある。思ったことは、すぐ口に出してしまう。思いつきを行動に移すこともおおいし、考えるより先に手足が動く。

ただ、注意欠陥・多動・衝動性で困ったこと、自分では一度もないように思っていた。

ただ、現実の問題として、妻から何度も何度も発達不足を指摘されているわけで、近しい人から見たら、おかしなことになっているんだろう。

きのうの夕方以降、言動や行動や所作について、妻から10回以上の指摘や注意を受けたので、さすがに「マズいのかな?」と思い、過去の行動や言動を、ゆっくりと振り返ってみた。

2年前まで、都内の会社に勤めていた。そこでは3年働いた。ソコソコ評価されていたようで、役職にもついていた。

当時の働き方、振り返るとメチャクチャだった。企画営業みたいな仕事だったんだけど、とにかく企画書を上げまくって、承認されたプロジェクトはぜんぶ自分で進める。

その途中で、頓挫したりボツになったりするものもあるけど、あまり気にしない。とにかく頭を動かす、手を動かす、足を動かす。回遊魚みたいな働き方をしていた。

当然、そんな働き方が長続きするはずもない。ブレストみたいな企画は、だんだん通らなくなっていく。最終的に、疲れ果てて体調を崩して、会社をやめた。

振り返ると、ADHDの診断前、働いていたときから、ADHDしぐさを発揮していたんだなァと思う。前の会社にいたときは、ADHDしぐさがある程度は有効に機能していた気がする。

とにかく、落ち着きがないのだ。ひとつのところにじっとしていられないし、ひとつのことをずっと続けられない。とても飽きっぽくて、つねに新しいことをしていたい。

ADHD的な傾向、年々強くなっていっている気がするな。20代、若くて気力・体力があったころは、気合いで抑えられていたのかもしれない。30代でいろいろおとろえてきて、ADHD的な傾向がモロに出てきた気がする。

1年前に「あなたはADHDです」と断定されて、いちおう診断名がついた。だけど、診断名がついたからといって、なにかが劇的に変わるわけではない。

大事なのは、診断を受けて、自分の特性をしっかり把握することなんだろうな。私であれば、とにかく落ち着きがない、突飛なことをしてしまう、回遊魚みたいな生き方しかできない。こういう性質を把握して、自覚することなんだと思う。

きのう、発達が足りてない状態で、妻から散々叱られて、またそれを振り返ることで、ようやく自分のADHDの輪郭みたいなものが見えてきた。ADHDの輪郭、まだボンヤリしていて、あいかわらず自覚はうすいけど……。

ADHDのPDCAを繰り返して、自分の特性を見つけられればいいんだろう。私のADHDの輪郭を、すこしずつでいいからハッキリさせられればいいんだろう。そうすれば、きっと自然と自分に合った生き方・働き方が見つかるような気がする。っていうのはちょっと楽観的すぎるだろうか……。

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