痛風になった

04.じんせいのこと
この記事は約5分で読めます。

先日の朝、左足の甲のあたりに違和感を感じた。なんとなくムズムズするような、しびれているような、圧迫されているような、そんな感じ。

(まさか……)とは思いつつ、その日は朝から用事があったので、違和感は放置して外出した。外出先で友人と合流し、喫茶店に入る。おしゃべりに夢中になっていて、左足の違和感のことはすっかり忘れていた。

いい時間になったので、そろそろランチへ行こう。そう思って立ち上がろうとして、足に力を入れた瞬間、左足に激痛が走った。

一瞬、足の骨が折れたかと思った。メチャクチャ痛くて、あまりの痛みに足の力がフッ……と抜けた。痛みをこらえながら、足の指先を軽く動かしてみる。動く。折れてはいない。となると、残る痛みの原因はひとつしかない。痛風発作である。

恥ずかしいお話なんだけど、私はココ3年ほど、高尿酸血症という状態になっている。おととしの私の尿酸値は、9.5mg/dL。

尿酸値9.5mg/dL、この数値がどれくらいスゴいか。野球にたとえるなら、3割30本30盗塁くらいスゴい。というかヤバい。通風界のエース。この3年間、いつ痛風発作が起きてもおかしくない状態だった。

しかし、痛風発作が起きたことはいままで一度もなく、病院に行くこともなかったので、高尿酸血症のことなんてスッカリ忘れていた。

左足が痛くて、マトモに歩けない。一歩踏み出すごとに激痛が走り、足の力が抜ける。なんとかかんとか左足を引きずりながら街を歩き、ランチをして、家に帰った。ずーっと激痛におそわれていたけど、なんとか耐えることができた。

家に帰って、靴下をぬぐ。左足の親指付近が、パンパンにはれている。とりあえず、患部を冷やした。痛風というのは、尿酸の結晶が関節のなかで固まって炎症を起こす病気。なので、冷やせば多少は楽になる。

気を失うほどではないけど、歩くのがキツい、体力をガリガリけずられるくらいの痛み。冷や汗がダラダラ出てくるし、身動きがとれない。

あわてて内科の病院へ電話をして、診察の予定を入れた。翌日の夕方に診てもらえることになった。その日は痛みをこらえつつ、歯ぎしりしながら夜を明かした。

翌日、目を覚ますと、痛みはすっかり消えていた。足の違和感もない。ただ、左足親指のつけ根は、あいかわらず赤くはれていた。

もう足は痛くないので、余裕しゃくしゃくで病院へ行く。「痛み止めでももらって、終わりだろ」そんなことを考えていた。

病院で受付をすませ、問診票を書いて、看護師さんの問診に入った。

「昨日、足に強い痛みがありまして、たぶん痛風だと思います」

私はそう言って、おととしの健康診断の結果(尿酸値9.5mg/dL)を見せた。健康診断の結果を見た看護師さんの表情が、みるみるうちにくもっていく。

「ちょっと先生と相談しますので、検診結果をあずかりますね。廊下でお待ちください」

言われたとおり廊下で待っていると、看護師さんから別室に案内されて「いまから血液検査をします」と言われた。

え、ちょっと待って。私は注射が本当に苦手なんだ。特に採血。自分の血を見るのが本当にイヤなんだ。血を抜くなら、3日前くらいに予告してもらわないと困る。いきなり血を抜くって、そんな。

抗弁する間もなく、シャツの袖をまくしあげられて、ゴムのチューブを腕に巻かれた。「手をにぎってくださいね~」パニックになっていたので、言われたとおり手をにぎる。

(ダメだ、もう血を抜かれるしかないんだ)観念して、目をぎゅっとつむり、腕から顔をそむける。腕がチクッとして、肌にもぐりこんだ注射針の感覚が伝わってくる(コレが本当にキライなんだ)。

30秒ほどで採血が終わった。(やっと終わった)ホッとしていたところへ、看護師さんが

「これからコレを検査します、10分ほどで終わりますからね」

と言って、私の血液が入ったボトルを見せてきた。私は卒倒しそうになった。

検査が終わり、お医者さんとの診察がはじまった。お医者さんは、とても深刻そうな、陰気臭い顔をしていた。

「一刻もはやい治療が必要です」

お医者さんはそう言って、高尿酸血症と痛風がどれほどおそろしい病気か、どれだけおおくの合併症を引き起こすかなどを話していた。私は、感心しながら聞いていた。

きょうの私の尿酸値は8.0mg/dL。ピーク時と比べれば下がったけど、まだまだスゴい。野球にたとえるなら、毎シーズン20勝あげる投手ぐらいスゴい。

お医者さんから「お酒は飲むか?」と聞かれたので、もう2年近く飲んでないと答えた。あと、最近は食事にも気をつかっていることなども話した。

「どれくらいで治療できますか?」

私がそう聞くと、お医者さんは

「いままでの積み重ねが相当あるので……」

と言って、また深刻そうな顔になった。

てか、2年くらいお酒をやめて、ラーメンとかもできるだけガマンして、つとめて健康に暮らしていたのに……そのおかげか、去年の尿酸値は7.2mg/dLまで下がっていたのに……いまさらになって痛風発作が出るなんて、ひどいよ……。

友だちにも、何人か痛風持ちがいるけど、みんな口をそろえて「死ぬほど痛い」と言っていた。私は今回はそれほどでも……という感じだったけど(歩行は困難になったけど)、コレ以上の痛みにおそわれるのか……こわい。

おととしの健康診断で、尿酸値9.5mg/dLをたたき出したときは、お医者さんと

「お酒飲む?」

「はい」

「すぐやめて。タバコ吸う?」

「はい」

「すぐやめて。ラーメン食べる?」

「はい」

「すぐやめて。通院して薬飲んで」

「はい……」

というやりとりがあった。あのときは「なんでそんなこと言われなきゃいけないんだ!」と頭にきてしまい、もらった紹介状をビリビリに破り捨ててしまったけど……あのときお医者さんの言うとおりにしていればよかったなァ。痛いのは、もうこりごりだ。

とりあえず、いまは鎮痛剤を飲んで、炎症が完全におさまるのを待っている。炎症がおさまったら、こんどは尿酸を排出する治療だ……先は長い。先は長いけど、やっていくぞ。なぜなら本当に痛かったから……。

タイトルとURLをコピーしました