コウモリが就活をしながら思うこと

04.じんせいのこと
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3ヶ月くらい前から、にわかに就活を始めた。前の会社をやめてから、もう2年以上経つ。前々から「就活しなきゃな~」と思っていたけど、いよいよのっぴきならない事情が出てきたので、やむをえず就活を始めた。

はじめは、「障害オープンの一般雇用」を目指していた。私は、双極性障害(躁うつ病)という精神障害と、発達障害(ADHD)という、ふたつの障害を持っている。

「障害オープンの一般雇用」とはなにか。要するに「障害については明らかにしたうえで、普通に雇ってくれ」ということなんだけど、これがなかなかむずかしかった。

当初はリクナビなどの転職サイトに自分の障害を明記して、就職活動をしていた。リクナビに登録すると、はじめのうちは企業からオファー(「面接に来ませんか?」というお誘い)が来るのが常だけど、障害のことを書いたせいか、オファーはあまり来なかった。

そんななかで、ある転職エージェントからオファーをいただいたので、そこを軸に転職活動をしようと考えた。履歴書・職務経歴書を整えて、エージェントと電話面談をして障害のことなども伝えて、さあ求人に応募するぞ! という段になって、転職エージェントから「推薦不可」の連絡をもらった。要するに「あなたに仕事を紹介することはできません」ということ。

なにが原因かはわからない。この時期の就活に対する態度は多分に問題があった(長髪だったり、ふざけた証明写真だったり)ので、それが原因かもしれない。だけどいちばん大きいのは、やはり障害のことだと思う。

ともかくここで一度「普通の就活」「障害オープンの一般雇用」に挫折して、次は就労移行支援事業所へ行ってみた。就労移行支援事業とは、私のように障害が原因で一度リタイヤした人が、スムーズに再就職できるようサポートする事業のこと。

就労移行支援事業所で、担当の方に、プログラム修了後の就職状況を聞いてみた。すると、修了者の大部分は、障害者雇用で就職していくという。

障害者雇用については賛否両論あるだろうけど、私個人としては受け入れがたいものがある。賃金が低すぎるためだ。独身・実家暮らしとかならともかく、私のような所帯持ちだと、かなりキツい。先に書いた「のっぴきならない事情」というの、要するに家庭とお金の問題なので、障害者雇用の賃金では足りない。

「就労移行支援→障害オープンの一般雇用」という道もなくはないらしいけど、限りなく狭き門のようだ。担当者の歯切れも悪い。

というわけで、結局は以前就活した時とおなじ「障害クローズの一般雇用」に切り替えた。リクナビの経歴欄から、障害に関する記載を全部削除して、イチから就活を再開した。

経歴欄から障害に関する記載を削除したら、オファーがバンバン届くようになった。いまは複数のエージェントとやりとりをしつつ、自分でも求人に応募したりして、明日さっそく面接がある。

就活をしながら思うこと。採用市場において、健常者と障害者とは明確に区別されている。雇用において、健常者と障害者とのあいだには深いミゾがあり、明らかに断絶されているということ。

一般雇用は(ほぼ)健常者に向けてしか開かれておらず、障害者がそこへ入る余地はほとんどない。一般雇用の道を選びたいなら、障害を隠して健常者に「なる」しかない。

障害者には、障害者雇用の道しか開かれていない。障害者雇用で幸せに生きている人もたくさんいるんだろうけど、私個人としてはあまりいいビジョンを見いだせなかった。

私の障害の程度は、あまり悪くない(と思う)。お薬さえ飲んでいれば、だいたい健常者とおなじような生活を送ることができる。ただ、やはり具合が悪くなるときはあるし、「普通」と比べるとおかしくなるときもある。

要するに、私はグレーなのだ。おとぎ話のコウモリみたいに、鳥のような獣のような、どっちつかずな存在、それが私という精神障害者・発達障害者。

「都合のいいときだけ障害者ぶる」と言われることもある。そりゃまァたしかにそう、返す言葉もない。身体障害者の方のように、目に見える障害があるわけでなし、お薬を飲んでさえいればだいたい健常者と見分けがつかないし、そう思われても仕方がない。

しかしながら、完全なシロ、完全な健常者ではないんだよな。お薬が効かないときもあるし、周期的に体調を崩すこともある。かといって、完全なクロ、完全な障害者でもない。一見すると、人並みに生活できているように見えてしまう。

雇用の道は、シロ(一般雇用)とクロ(障害者雇用)とで、ハッキリわかれている。だけど、私自身はシロでもクロでもない、どっちつかずのグレーなんだよな。いままさにシロかクロかの選択を迫られているのだけど、本心を言えばどちらも選択したくない。グレーのまま生きていたい。

とはいえ、グレーのまま生きていく方法なんてないし、新しい道を作り出す甲斐性もないので、仕方なく、ムリヤリにでもシロになって、一般雇用で健常者っぽく生きていこうかと思っている。

障害を隠すことは、すなわち職場にウソをつくことなので、それは心苦しい。いつまた障害が悪化するかわからない不安もある。だけど、グレーのまま生きる道はない、シロとして生きるしかない以上、もう選択の余地はない。

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